【研究のこと】

2010年10月 2日 (土)

シグマ受容体(σ受容体)のうつ病、認知機能障害への効果の作用機序

前にSSRIのフルボキサミンが認知機能障害への改善効果があることを書いた。

なぜフルボキサミンが効果があるのかについて、あまり情報がなかったが、Progress in Medicine Vol.29 No.9 2009.9という雑誌で、「シグマ受容体リガンドとしてのFluvoxamineの臨床的有用性を考える」という対談記事があって、千葉大の橋本先生が解説しておられた。

それを以下に要約した。(ここでのシグマ受容体はシグマ1受容体です)

シグマ1受容体は分子量25.3kDa 、233個のアミノ酸からなる 膜2回貫通型受容体 小胞体に多く、小胞体タンパクである。
歴史的には1976年、Martinらがオピオイド受容体のサブタイプであると提唱した(後に否定される)。
機能としては小胞体内で分子シャペロンとして働く。シャペロンとは2次元のポリペプチドを3次元構造への変換をサポートし、目的部位までの輸送する機能である。
シグマ受容体ばイノシトール3リン酸受容体の分子シャペロンである。シグマ受容体への刺激によって、情報伝達過程があり、NMDA受容体を介してグルタミン作動性ニューロンを制御する。
また、軸索伸張作用を促進する効果がある。

SSRIのフルボキサミンはどの抗うつ薬よりもシグマ受容体への親和性が高い(下図参照)。

Ssri_2

in vitroの研究で、フルボキサミンは神経成長因子によって誘発された樹状突起伸張作用が容量依存的に促進した。
また、PCP(NMDA受容体阻害剤)を10日間投与した統合失調症の認知機能障害モデル動物で、フルボキサミンを投与すると記憶課題の成績が改善した。この効果はまたシグマ1受容体アンタゴニストを併用するとこの効果は消えるので、SSRIとしての機能ではなく、シグマ受容体促進作用が特異的に記憶機能を上げたと考察できる。

という内容。

シグマ受容体についてかなり理解が進んだ。

まだこの受容体については未知の部分もあるようだが、作用機序についてほぼ決定的なことが分かっているのだなあと思った。
うつ病では、シグマ受容体刺激への軸索伸張作用によるうつ病や記憶機能の改善に寄与し、NMDA阻害作用と関連する認知機能や陰性症状が分子シャペロンとして機能する情報伝達系を介して、改善させるということで、広く応用できる薬剤であると思う。
また、まだ詳しく見ていないがすでにPET研究もあって、シグマ受容体が存在する部位などが分かっているようであるので、その点からもシグマ受容体の心理機能への影響について推測できるかもしれない。
また今度紹介したいと思う。

toyomaki

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