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2011年1月21日 (金)

論文の読み方3:精読の仕方と情報を整理する

英語論文の読み方の続きです。
前回のまとめも兼ねて、精読に必要なPCソフト(Windowsです)について紹介します。
PDF-XChange Viewer
論文はPDFファイルで入手し、それを閲覧しますが、ビューアーのソフトとして、PDF-XChange Viewerが最適だと思います。軽いソフトなので起動が速いことと、ハイライトや下線を引いたり、コメントを書き入れたりといった編集が出来ます。また1つの論文を読んでいてちょっと飽きて集中が続かない時、別な論文を読むことがありますが、タブ形式でファイルが扱われるので、1つのウィンドウで表示できてファイルの切り替えが容易です。
基本的にアブストラクト→序論→方法…と順番に精読していきます。序論、考察では先行研究の紹介の記述が多いのですが、自分にとって重要だと思われる記述はコピーしてememopadにペーストします。その際、僕はコピペした記述に下線を引いて、コピペしておいたことが分かるようにします。また著者の主張やとにかく重要だと思った部分もememopadにコピペしますが、黄色でハイライトしておきます。
また、細かいことですが、コントロールキーを押しながらマウスのスクロールボタンを回転させると拡大、縮小表示が簡単に行えます。だいたい150%から200%くらいに拡大して見ることが多いです。またページの表示ですが、画面に1ページ表示するのではなく、連続表示にした方が、ページの上部や下部の拡大表示がうまくいきます。

ememopad
論文の中の先行研究の紹介や、その他の重要な記述をまとめて整理するためのテキストエディタ(アウトラインプロセッサ)です。以前は僕は1つの論文につき、1つのememopadファイルを作成していましたが、同時にかなり多数の文献を読むようになり、いちいちememopadファイルを立ち上げるのは面倒なので、1つのememopadファイルで、読んでいる全ての論文の情報を書き留めることにしました。それでememopadの左側のウィンドウのツリー構造は、「統合失調症関連」とか「Dyslexia関連」などとテーマ別にカテゴリー化されて、一番下のツリーはファイル名にしています。読了した文献は「読了」と記しておくとわかりやすいと思います。PDFファイルのファイル名は研究者によって様々なポリシーがあるかと思いますが、僕は現時点ではその論文についての様々なカテゴリー名を中括弧[]で書いて、最後に第1著者のラストネーム、発行年としています。例えば[dyslexia][M系]Boden2007などという感じです。カテゴリーは、例えば疾患名や研究手法、主な注目している脳部位、などといった感じでしょうか。あまり長い綴り字のものは打ち間違うことがあるので短縮しています。例えばSchizophrenia→SCZ、magnocellular系→M系などという感じです。
ememopadの一番下のツリーは1つの論文の情報をまとめるページになりますが、まずPDFビューアーから、最後のReferenceを全てコピペしてememopadに貼り付けます。そうするとそのウィンドウの上からずっと文献情報になりますが、複数行、改行して、スペースを空けてください。文献を読んでいって、①知っておくべき先行研究、②自分が将来書くかもしれない論文で役に立つ英文記述、③この論文で初めて出てくる著者の主張やその他とにかくその時の自分にとって重要だと思った記述、を英文のままコピペします。そしてコピペした英文の上の行に簡単に一言程度で要約したものを日本語で書きます。この時に、その先行研究が当該テーマの重要な初出論文である(どの文献でも必ず引用されるような文献)であれば【初出】などとタグを付けておくと視認性が高まり後で調べる時に便利です。その他【重要】とか【役に立つ英文記述】などと書いておくと良いでしょう。コピペした英文記述の下の行には、正確な書誌情報を書きます。最初にPDFファイルからまとめて引用文献を貼り付けましたが、そこから引用文献を探して、コピペした情報の下の行に貼り付けます。このようにして、1行目は日本語でまとめたもの、2行目以降の複数行はPDFファイルからコピペした英文記述、その後の複数行はその英文の根拠となっている先行研究の文献の書誌情報、という格好になります(下図を参照)。

Paper1

それでここから先ですが、読み終わった後どうするのか、ということを書きます。
mindmanager
テキスト情報のカテゴリ分類の視認性に長けたソフトを用います。世間ではいわゆるマインドマップと呼ばれるものを作成するもので熱狂的に支持されている向きがありますが、マインドマップは認知科学をやっている僕からしても脳はこのような単純なカテゴリー分類で情報が貯蔵されているとは思いませんし、特段頭が良くなるとか創造性が増すという感じがしません。とにかくテキスト情報のカテゴリ分類と関係性の表現が優れている視認性の良い表現方法の1つであって、それ以上のものではないかなと思います。
それはそれとしまして、1本ではなく複数の文献を読んでからのほうが良いと思いますが、先行研究についての情報がかなり蓄積されてきます。完璧に長期記憶に保持されたら全く問題無く、とても素晴らしい事ですが我々はそうではありませんので、必要に応じて思い出せるように外に保持することが大切です。そこでmindmanagerを使って下図にあるように、ある大きなカテゴリー1つにつき、1つのmindmangerファイルを作成し、適宜下位カテゴリーを作成した後、1つの項目にはememopadファイルの1行目の日本語要約を貼り付けます。そしてここでコントロール+tキーを押すと、その項目についてさらにテキストで詳細に記述するウィンドウ(その項目についてのノート)が出てきます。この部分に、2行目以降の英文記述と引用文献の書誌情報をコピペします。このようにしてある当該テーマに関してどんな事が分かっているかが視認性高く網羅的に分かる、それぞれの根拠となる原著論文の書誌情報はどうなっているかも項目のノートを開くと分かる、さらに自分が将来論文に書くときに英作文の参考になる、という格好になります。

Paper3

といった一連の流れが精読した文献を将来の生産(論文執筆)を考慮して徹底的に生かす効率的な方法ではないかなと思います。

またオプションですが、僕はDDWINというEpwing形式の辞書をまとめて簡単に検索できるソフトを使っています。このソフトに英語辞書をあれこれ入れておいて、論文読むときにを立ち上げておきます。クリップボードから検索するというようにします。PDFファイルを読んで分からない単語があったときに、その単語の部分にカーソルを持って行ってダブルクリックすると、その単語だけ選択されます。そしてコントロール+cキーを押してコピーして、DDWINのソフトのウィンドウを選択すると検索されて内容が示されます。この作業は1,2秒程度で大変効率が良いと思います。(バビロンとかもっと速い辞書ツールも良いかもしれません)

Google desktopはPC内のほとんどのファイルを検索するのに役に立つソフトです。僕の使い方は、まず論文の情報を書き留めているemeopadを立ち上げて、それから最も下のツリーの見出しがファイル名になっているのですが、このファイル名を選択してコピーします。そしてコントロールキーを2回押すとgoogle desktopが立ち上がります(ショートカットキーです)。そこにペーストするとそのPCの中にあるそのPDFファイルがすぐに見つかります。このようにして、PDFファイルのあるディレクトリまで行って開くのではなく、ememopadからgoogle dektop経由で行く方が時間的にも速く、どこにおいても必ず見つかります。

dropboxは代表的なクラウドサービスの1つで複数のPCに特定のディレクトリをオンタイムで共有してくれる大変便利なソフトです。僕は大学や自宅のPC、出先ではノートPCで作業するので、複数台のPCを使います。それぞれの場所で論文を良く読むので、PDFファイルは全てdropboxで同期しているフォルダ内に入れておきます。ついでにememopadのファイルもdropboxに入れておきます。こうすると大学で読んで、保存して、帰宅して同期してくれて、同じ状態で開いて作業することが出来ます。ememopadもPDFファイルもローカルに保存されているので上記のようにgoogle desktopで検索して開くことが出来ます。

toyomaki

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コメント

はじめまして。

PCソフト通でない私に最適の記事です。参考にさせていただきます。ありがとうございます。

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